【アムネスティ】アムネスティがミャンマー国軍に対する日本の対応を批判
・アムネスティ、ミャンマー国軍に対する日本の対応を批判・ARSAの攻撃を非難しただけ
国連との協議資格を有する国際人権NGOのアムネスティ・インターナショナル(以下「アムネスティ」)は9月19日、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャに対する迫害問題で国際社会から批判が集まる同国国軍に対する日本政府の対応を批判した。ミャンマーでは2017年8月25日、反政府武装組織アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)が警察署などを一斉襲撃する事件が発生。その後、ミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)最高司令官率いる国軍は、同国ラカイン州でロヒンギャを標的とした「掃討作戦」を開始した。
軍による恐ろしい暴力により、数ヶ月のうちに70万人を超すロヒンギャが隣国バングラデシュへ避難している。アムネスティによると、日本外務省は襲撃直後の9月にARSAの攻撃を非難しているが、ミャンマー治安部隊には自由を提供したように見えたという。・日本政府はミャンマー国軍に寄り添っていると主張ラカイン州で軍治安部隊による掃討作戦が開始された後、アムネスティは軍によるロヒンギャへの殺害、強姦、拷問、性的暴行、焼き払いなどの残虐行為を報告。さらに、2016年と2017年にカチン州とシャン州でも、治安部隊による少数民族への人権侵害があったことを報告している。アムネスティは9ヶ月にわたる調査により収集した証拠に基づき、人権侵害を指揮した幹部13人を特定。その中には、ミン・アウン・フライン最高司令官も含まれていた。しかし、ミャンマー軍による犯罪の証拠提示と国連による「民族浄化」との批判の後も、日本政府は世界的な抗議に参加することなく、ミャンマー軍の幹部から離れようともしなかったと主張。日本政府がラカイン州で起きたことについて、沈黙を守っていると批判している。さらに、2017年に首都ネピドーで行われた同最高司令官との会合で「人権侵害疑惑」に言及したものの、ミャンマー軍を非難することはなく、代わりに両国の強力な軍事関係を再確認したとの見解を明らかにした。・日本が沈黙を守る限り加害者側にいることになるまた、アムネスティはミャンマーとの軍事協力以外にも、日本がミャンマーで重要な役割を担っていると指摘。今年1月に日本政府がラカイン州に対する人道援助と開発援助に2,000万米ドルを追加すると発表したことに言及している。主要な援助国として、日本は人道犯罪や戦争犯罪など、国際法上の犯罪行為を継続的に監視する義務があると主張した。また、国連人権理事会が2018年3月に、ラカイン州での人権侵害に関して暴力や虐待を強く非難する決議を採択したとき、日本は国連の他の9カ国とともに投票を棄権したことにも言及。その際にも日本政府からの正式な声明はなく、沈黙を守っていたとしている。さらに、国連が虐殺や人道に対する罪や戦争犯罪などでミン・アウン・フライン最高司令官の訴追を要求した翌日、在ミャンマー日本国大使が同最高司令官と会談し、両国軍の友好関係の促進について話し合ったと主張。アムネスティは日本が沈黙を守る限り、ラカイン州で起きた悲惨な犯罪の加害者側にいることになるとした上で、日本政府がミャンマー国軍を明白に非難すべきだとしている。(画像)
アムネスティ・インターナショナル
アムネスティ・インターナショナルのプレスリリース